◆公募展出品「黎明」 2011. 2. 13
生来の怠け癖に少しばかり刺激を与えたいとの思いから、年に1度は地元の公募展に出品してきました。
今年度最後の公募展「北海道高齢者陶芸展」にようやく間に合わせて、恐る恐る出品したのが「黎明」です。4体組の作品でしたが、規定寸法オーバーで3体だけの出展となったのが残念・・・。
粘土は手捻り用赤土で、自作の鉢に炭・コヒーの出し殻、ホタテ貝殻と一緒に電気窯に入れて炭化焼成しました。赤土は焼成の過程で素地が膨れてブクが出やすいので素焼きの段階でじっくりと1000℃・5時間をキープして、本焼きは思い切り1260度まで上昇させました。
多少は個性的と自負していたのですが、展示会場の堂々たる作品群の中で、肩身狭そうに並んでいたのが可哀想でした。
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◆鬼萩井戸風茶碗 2009. 12. 30
日本の焼き物は、秀吉が引き起こした文禄・慶長の役で大きな変化を遂げました。
半島に攻め入った西国大名が、多くの陶工を強制連行して、当時価値が最も高かった井戸茶碗などを作らせようとしたことで、西日本一帯に焼き物の産地が形成されたからです。
連行された陶工にとっては、見知らぬ作陶を他国の地で強要される辛酸の日々は察して余りあります。それから400年、彼らが生み出した造形技術はその末え達いによって、地域の貴重な文化として受け継がれています。
昨年訪れた萩にも沢山の井戸茶碗が残っていました。藩命に従ってこの地の粘土で必死に試行を続けた汗と涙の結晶です。
僭越ながら、萩での記憶をたどりつつ井戸風茶碗に挑戦してみました。
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◆穴窯焼成土瓶 2009. 12. 21
この作品、実はボディーに鉄絵を描いて、それに織部釉と透明釉を掛けてから酸化焼成する予定でした。
素焼の最中に、某先生が穴窯焼成する仲間を募集しているとの情報があり、直ちに方針を転換。粘土に「はぜ石を混ぜたかった」と悔いながらも、5パーセントほど混ぜた珪砂の効果に期待を掛けて穴窯での焼成となりました。
さて、穴窯から無事に生還した土瓶、自然釉がいい塩梅に掛って、珪砂もそれなりの代役を果たしたと思うのですが・・・。我が家では、またひとつ無用の長物が増えたと極めて評判が悪いです。 |
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◆織部釉登窯焼成壺 2009.11. 27
この作品は「札幌芸術の森」の登窯で焼成したものです。
織部らしいシンプルな雰囲気を期待していたのですが、期せずして全体が「焦げ」に覆われた荒々しい雰囲気の作品に仕上がりました。
「焦げ」は登窯や穴窯で焼成の際に、薪の燠(おき)が作品に付着して表面を炭化させるものですが、時には味わい深い景色を醸し出します。
この壺の景色の良し悪しは別にしても、窯に棲む神様の業でしょうか、「焦げ」が技術の未熟さを覆い隠してくれたのは確かです。
粘土は白系粘土の単調な焼き上がりを嫌い、古信楽に赤土を20パーセントほど混ぜて見ました。
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◆織部還元焼成花器 2 2009.06. 09008.02. 27
今回も電気窯で自己流の還元焼成を楽しみました。
織部釉は酸化焼成で、艶のある緑色に発色します。一方、還元をかけると、酸化焼成とは正反対に赤黒い色や乳濁したした紫色に焼きあがるので、基本的に還元は禁じ手といえましょう。
でも、ここはゲテモノ狙い。織部釉にどっぷり浸した素焼きの花器を水道水でさっと洗い流して、そのまま焼いてみました。
「いい雰囲気だよ」などと仲間が哀れんでくれるものの、煤けた織部が一部に張り付いただけの、なんとも中途半端な作品となってしまいました。
できるならば、10年くらい北海の荒波に晒しておくか、穴窯の最前列に放り込んで、もう一度痛めつけたい衝動に駆られます。 |
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◆焼締め花入れ 2009.02. 27
小さな電気窯を購入以来、備前の土を還元雰囲気で焼成して、備前焼モドキを楽しんできました。それなりに備前の魅力に触れることができますが、登窯の焼成には到底及びません。
「札幌芸術の森」では、今年最後の登窯とのことなので、参加させていただきました。
これはその時の花器3点のひとつです。
灰が適度に飛んで、「胡麻」のほど良い表情が出ました。登窯は駄作にも平等に恩恵をくれたのです。
ところで、花器はあくまでも花が主で、焼き物は従でなければなりません。その点、備前の土肌は花映りがよく、器が発する遠赤外線が花を活性するとも言われています。
加えて、我が作品には技術的に見るものがないので、花達にとっては幸せこの上ないこと請け合いです。
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◆信楽の壷 2008.05. 17
蹲(うずくまる)に代表される「利休」や「昭和天皇」が愛した信楽の壷は、一度は挑戦したかった焼き物のひとつです。
土の持ち味と自然灰、緋色、焼け焦げが調和した信楽焼きの素朴な風合は、和のトレンドのなかでも、最後にたどりつくものといわれるのも頷けます。
この壷は、自分の電気窯で陶芸用の鉢に籾殻・ワラ・炭・木片などを入れて、還元状態で焼成しました。
用土は古信楽、釉薬は水に溶いた松灰だけです。
松灰がうまく流れて、緋色も適度に出たのですが、窯を傷めることを懸念して「さや鉢」を完全密封したため、予定より黒っぽく仕上がったのが残念です。
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◆焼締め水指 2008.02. 22
備前焼を強く意識して、還元焼成した水指です。
無釉焼締めで、土と炎の融合が生み出す窯変の妙味を期待したのですが、「焼き成り」に見たものは、火災現場の残骸とも見紛う焼け焦げた土塊でした。
「燃えないごみの収集日が待ち遠しい」と自虐的な私。
「これって、結構侘び・寂びの世界よ。ひび割れも問題ないと思う。だって、この間の展示会で、真っ二つに割れた壷が出展されていたじゃないの」と妻。
母までが「この急須、ワシが貰うよ。南部焼き(?)に、こんなのがあったよね」だって・・・・(鉄瓶と違うわな)。
家族の精一杯のなぐさめに、一層落ち込む私でした。 b=(`o´;)=dググッ
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◆織部食器 2007.09. 08
織部の酒器に専念しているうちに、食器までも織部一辺倒になりました。
織部の場合、私は成形の最後にナイフで「エイ・ヤー」と表面に刃型入れるのですが、仲間からは「ばかの一つおぼえ」と嘲笑されています。「切り裂き魔」との陰口も聞こえます。
中西香爾コロンビア大教授がノーベル賞候補になったご自身の研究を「ばかの一つ覚え」と評したことがありましたよね。「ばかの一つ覚え」を馬鹿にするのは間違いです。
教授は「人類が解明した『物質』は、宇宙のわずか4%にすぎないが、宇宙的な視点を持つことで、長期的な展望に謙虚な目を向けることができる」と仰せでした。 (゚ペ)ン?・・・
私には教授の学説、4%も理解できませんが「エイ・ヤー」は続けます。「継続は力」と言いますから。
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◆箸置き 2007.08. 28
「えべつやきもの市」では、たくさんの個性的な箸置きが展示販売されていました。お客様の人気も上々で、収集を楽しんでいる人がけっこう多いとのことでした。
箸置きは小さいながら酒器とは別の魅力があります。それに、箸置きを使うことで、お酒や食事を楽しくゆっくりと頂くことができますし、日本で育った文化(割り箸は自然保護の面から問題あり)として大切にしたいものですね。
我が家にも楽しい箸置きをと作ったのが「ハイハイ・ベービー」。白土に透明釉だけのシンプルな仕上げです。
この「ハイハイ・ベービー」、今のところ、家族(自分も入れて3人だけですが)に受けています。(/^ー^)/"""
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◆お地蔵さん(3) 2007.07. 20
私達は哲兄に急ごしらえされた「幸せ地蔵」です。二日前に「えべつやきもの市」につれて来られました。はじめて見る雑踏に驚いて、笑顔が引き攣ってしまいました。
「愛しくて、売るのが辛い」と言いながら、お客様には「お気に召しましたか。お安くしますよ」などと猫なで声。その優柔不断さには、ただただ呆れるばかりで、開いた口がふさがりません。永遠に。┐(-。ー;)┌ヤレヤレ
2日間で3分の1ほどの仲間が、罰当たりな哲兄の元を離れ、新しいご主人様の「幸せ」を祈る日々を送っています。
肌の色は白と黒・混血の3種で、透明釉で化粧されました。
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◆お地蔵さん(2) 2007.07. 03
お地蔵さんといえば、『笠地蔵』。子供の頃、母に読んでもらったことが思い出されます。
大晦日に笠売りに出かけた貧しいお爺さんが、吹雪の中にたたずむ地蔵たちを憐れんで、売れ残った笠を被せて家に戻ると、地蔵が米俵や金を背負って恩返しにやって来たというお話でした。
山形では、笠が5個しかなかったので、「一人の地蔵さまに、おれの褌かぶせで来たなよはぁ」と伝承されています。
そして「エンコサラモンサラ ドッコイショと、褌の上さいっぱい食うもの乗せで、地蔵さま、そこさ置いで行ぐの見えただ」と結ばれます。民話の宝庫ならではの見事なストーリーですね。
用土は最後まで迷いながら白土。仕上げに透明釉を掛けました。 褌は粘土での細工を断念して、妻に作ってもらった布製です。黒系の用土のほうがよかったとの思いもありますが、この褌だけは白土に映えたようです
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◆フクロウ 2007.06. 20
北海道でフクロウは、昔から「森の賢者」として親しまれてきました。
このフクロウが今、「不苦労」や「福郎」として、全国レベルで縁起グッズとしての人気は上昇の一途をたどっているそうです。360度首が回ることから、借金で回らない首をフクロウにあやかって回わそうなどは噴飯ものですが・・・。
私の陶芸教室では、年に一度、登り窯を借りて、薪で焼成します。今年もその季節がやってきました。
仲間それぞれが密かに構想を練る中、私は「不苦労」で良い作品ができるようにと、フクロウに挑戦です。 信楽赤土で焼き締めました。
製作前にイメージした「巣の中に注ぐ月光」とは「月とスッポン」ですが、つぶらな瞳の裡に、時々「福」が見えます。本当の嘘です。 m(_ _)mスマン
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◆お地蔵さん 2007.06. 01
立派な装飾品を身につけて、高みから慈悲を与えて下さる仏さんよりも、草薮の合間から微笑みかけてくれるお地蔵さんが好きです。
陶芸店でも、思わずほほが緩み、心が和むお地蔵さんを見かけますよね。酒器に行きづまった心も癒されます。
「このお地蔵さん、作者と似てるわねネ」、「特に頭の形、生き写しヨ」などの仲間のいじめに耐えて作ったお地蔵さん。
上段三体は黒みかげ、下段は黒土で、六体すべてに透明釉を施しました。
ところで、「酒断ち地蔵」などと勝手に名前を付けて、「息子が酒嫌いになりますように」と、声高にお祈りをする厭味な母から、私を救済してくれる仏さんを・・・
何方か知りませんか。(m。_。)m オネガイシマス
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